JR東海 須田寛相談役記念講演

ブログ管理人の筒井です。4月22日、本学特別招聘教授須田寛先生をお招きして、現代日本社会学部開設記念講演会を開催しました。ご講演を聴講していた本学部学生がお話の概要と学生自身の感想を書いてくれたので紹介します。

 産業の現場や産業遺産を訪ねる産業観光が広がりつつあります。多くの市町村・商工会議所が産業観光に取り組んでいます。本日はその産業観光の第一人者であるJR東海相談役の須田寛氏から、現代日本社会学部開設記念として御講話を頂戴致しました。テーマは「現代日本と広域観光」です。須田氏は産業観光について「国内観光客、外国人観光客の数が年々減少している」と問題点を指摘しました。

 外国人観光客に関して、まず「情報発信が少ない」とのこと。産業観光に関してはこれまでになかった観光なので、情報発信が十分でないのは当然です。その観光地側から積極的に情報発信をしなければなりません。ただ、観光客は「団塊の世代」が多い模様。現在、情報発信の主な方法はインターネットであります。宿泊代金等が直ちに検索でき、企画・申請も可能です。その「団塊の世代」の消費者を考慮した分りやすく興味を引くサイトの作成がネックになるのではないでしょうか。

 次に「日本の旅館は泊まりづらいものが多く、観光の宿泊形態の多くは『一泊二食付き』です。これは外国人に対して『高い』というイメージを持たせてしまい、宿泊費が3倍になるように思える」と仰いました(実際に高いがw)。多くの旅行会社の宿泊形式はこれであります。外国人がそのようなイメージを持つということは、情報発信が少ないことに起因するのではないでしょうか。情報発信を積極的に行えば、この問題は時間が掛るが、解決できる問題だと考えます。しかし、イメージを消しても「高い」ということを実感するに至るでしょう。どうしても値段を下げるということが必要になってきます。
 
 他にも日本へのパスの発行に非常に手間がかかる、手数料が高い、などの問題があります。産業観光は国際観光において重要なテーマですが、海外にアピールしようという発想が少ないように思えます。年間千五百万人以上も訪れるのですから、より観光会社側が外国人観光客への意識を深めなければならないと感じました。
 
 また、インフラの整備により、団体の観光客は減少しました。そこで須田氏は「観光の形態を団体型ではなく企画型へ転換すべきである」との考えを示しました。確かに、こちらの方が現代のニーズに適っているとも言えましょう。しかし、そうなると団体に比べて規模の利益(移動回数・距離の増加等)が働かず、必要経費は割り増しとなります。よって須田氏は「この場面で最も重要となるのは旅館や旅行会社のコストダウンである」とのこと。現代日本は長年のデフレによる経済不況に陥っています。経済的に余裕のない消費者が国民の多数を占めます。コストダウンは産業観光の最大の課題となるでしょう。この点に関しては、旅行会社の努力だけでなく、政府による旅行会社支援の施策が必要ではないかと考えます。旅行会社の多くはキャンセル料金が高い。これは中小企業に多くみられます。この問題を解決するため、政府は仲介業者へ成約時に支払う手数料を高くするよう指導し、中小企業が十分に運営できるだけの財源を確保させるべきです。そうすれば旅行において価格面での競争が生じ、価格が下がれば日本人観光客、外国人観光客ともに増加するのではないでしょうか。
記念講演会3

JR東海相談役 須田寛氏(JR東海初代社長)