現代の課題a(1)

ブログ管理人の筒井です。本学特別招聘教授の須田寛先生が担当されている「現代の課題a」という講義を受講する本学部学生が、授業を受けての感想文を書いてくれましたので紹介します。

「現代の課題a」は本校の共通科目で、現代の社会で御活躍されている方をお招きし、期間限定で実施される科目です。講師をして頂くのは、JR東海相談役の須田寛先生です。本日の授業のテーマは「社会の原動力―人の動き(交流)を考える」です。

「(須田先生)今、日本の教育はダメだ!と言われています。何故、日本の教育が悪いのでしょうか。学校の教育が悪いのでしょか。私は、国の方針が定まっていないことに問題があると思います。国の方針が定まっていないために、教育の方針が定まらないのです。そのような状態は約40年間続いています。過去、日本はくにづくりの理念(目標)がありました。明治時代、鎖国体制から開国した日本は欧米との圧倒的な国力の差を意識しました。王政復古により成立した明治新政府は富国強兵をスローガンに、積極的に自ら産業を興こす政策を取りました(殖産興業)。大正時代、日本は世界の列強入りを目指し、経済発展を目指す政策をとりました。昭和の前期は大陸進出や国力伸長、戦中は戦争に勝つこと、戦後は破壊された国土の復興、近代国家再建設、所得倍増、インフラ整備等の政策がとられました。このように、明治には殖産興業、大正には経済発展、昭和には大陸進出、国土復興、褒められたことではありませんが戦争に勝つことなど、国としての目標がありました「天皇陛下のために」「我が国の勝利のために」と教えられたように、その目標が教育に表れていました。しかし、その目標は昭和戦後に達成され、そこから先は明確な目標がありません。明確な国づくりの理念、国の目指すべき方向が明示されないことが今の日本の混迷の原因であると考えます。」

日本の問題の根本を突いた的確な指摘でした。教育は国家を形成する上で大きなウェイトを占めます。教育の議論は何時の時代でもなされてきた、と言っても過言ではありません。近年では「ゆとり教育」について様々な議論がなされています。ゆとり教育の最大の問題点として挙げられるのは学力低下だ、とよく言われます。学力低下の問題は教育現場だけに留まる話ではありません。学力低下は国際競争力の低下に繋がる、国単位の問題です。ゆとり教育の何が最大の問題点なのかを考えると、私には「ゆとり」を子供に与えるという発想そのものにあるように思えます。子供が大人から何も言われずとも自分から進んで勉強するのならば、確かにそれは理想的で素晴らしいことです。しかし、そのような生き方を子供に求めるのは難しいのではないでしょうか。このブログを読んで下さっている方に質問です。貴方が子供のときの考えでお答え下さい。「毎週月曜日が休みになるとしたら、貴方は何をしますか?」――如何でしょうか。「勉強する」とお答えになった方もいらっしゃると存じますが、多くの方は「遊ぶ」とお答えになったのではないでしょうか。少なくとも幼少期の私に「勉強をする」と答えることは出来なかった筈です。ゆとり教育は子供が自主的に勉強することを前提としていますが、子供は遊びたいから遊んでダメになります。そしてこの「ゆとり」は子供だけでなく、教育者もダメにします。教育者は「教える」ことを放棄し、勉強ができなかったら子供の所為にし、さらに子供は勉強しなくなるという悪循環が出来ています。教育の体制を根本から変える必要があります。何よりもまず、須田先生が仰るように国が確固とした目標をもつことが大事です。それが無いから、ゆとり教育といったものが生まれるのではないでしょうか。国が目標を持ち、教育者は国の意向(目標)に則って教育を施す・・・この教育体制があってこそ、日本は過去において発展し得たのです。