職場体験付講座 第6回「京都の老舗」開催報告

伝統継承文化創造コース 岩崎正彌准教授

去る6月30日(土)に、皇學館大学・現代日本社会学部の主催により第5回「京都の老舗」を実施いたしました。この事業の目的は、伝統産業や京都文化に興味のある学生を、京都の代表的な老舗企業に案内して、各企業のトップの方からご講話を承り、参加学生の教養や見聞を広め、就職への機縁をつくり、各自の就業意欲を高めることを通じて、就職活動の支援を目指すものです。先年度までは文部科学省「大学教育・学生支援推進事業」の一環として就職課主催で開催されていましたが、同事業の終了により今年度からは現代日本社会学部が主催者となりました。企画・引率は引き続き岩崎が担当。
今回は染織をテーマに、友禅の「染」と西陣の「織」と「繍」をテーマに。当日は、学生11名(文学部4名、現代日本社会学部7名)(1年生2名、2年生5名、3年生4名)が参加、8時に宇治山田駅をバスで出発。車中でコーディネーターの岩崎正彌先生(現代日本社会学部・伝統継承文化創造コース・准教授)から講義とDVDの視聴により、これから訪問するお店の予習をいたしました。
最初の訪問地、京友禅「田畑喜八工房」(小川通夷川上ル)へ。田畑家は三代にわたって友禅を業としてきた家柄、先々代から伝わる友禅の伝統美とその工程をお示しいただき、職人の皆さんが働いている2階の工房も拝見させていただきました。また、歴代が収集した裂地(きれじ)などの「田畑コレクション」の図録もサイン入で頂戴いたしました。

「田畑喜八」工房の仕事場を拝見

「田畑喜八」工房の仕事場を拝見

 次に西陣を代表する料亭「萬重」(大宮通今出川上ル)へ。二階の見晴らしのよい座敷で、田村圭吾若主人のご案内とご解説により、せいろ弁当(税込4,000円)を堪能いたしました。什器、調度、美術品のしつらいもうるわしく、また御給仕の皆様の心のこもった御もてなしも含めまして、京都の料理店の水準の高さを学ばせていただくことができました。

「萬重」で懐石弁当膳を堪能

「萬重」で懐石弁当膳を堪能

 三番目は、西陣織作家の龍村光峯先生の工房(北区紫竹下ノ岸町)へ。ギャラリーの展示作品・地下工房の機など、隅々を見学させていただきました。座敷でも御後継の周さま、奥様をはじめ、皆様から丁寧なおもてなしをいただき、光峯工房さまの技術水準と美的水準、その気品を、学ばせていただきました。

「龍村光峯」工房のギャラリー

「龍村光峯」工房のギャラリー

 最後に、京繍の長艸敏明(ながくさとしあき)さまの工房「長艸繍巧房(ながくさしゅうこうぼう)」(浄福寺通上立売上ル)へ。祇園祭や伊賀だんじり祭りの懸装品は、旧作の迫力もさることながら、鮮やかな色彩と技の込められた復元作品には新しい命の輝きが蘇るような光が感じられました。能装束や鬘帯・屏風・緞帳など、様々な作品の美しさとともに、職人の皆様の生き生きとされたお顔が印象的でした。中宮寺天寿国繍帳に関するご研究の御講義もいただきました。

京繍「長艸」での御講義

京繍「長艸」での御講義

 参加学生からは「友禅のことを詳しく教えてくださりありがとうございました。着る人を「華主」と呼び、その人の美しさを引き立たせるという心遣いには感動しました」「どのお料理も美味しかった!ひとつひとつの食材と対話し、丁寧な下拵えされていることが伝わってきました」「本当に織物だろうかと疑いたくなるほど、色彩豊かで立体的で複雑な作品は、まさに芸術でした。」「神宮の御神宝も織っているとのこと、伊勢神宮と繋がっているのに驚きました」「刺繍は祈りや祀りなどのために出来たのだと知り、感動いたしました」「日本の祭りの懸装品の修復現場を見せていただき、生き生きと作業をされる若い職人の方が多かったのに驚きました。」「長艸さまから『それぞれが志をもって何かの歯車になってください』との御言葉をいただきました。」などと感動のレポートが寄せられました。

ツ
それぞれの見学先の皆様に心より感謝申し上げますとともに、今後も本学の学生が文化企業との交流を深め、ますます社会において日本文化に貢献できるようにと、祈っております。