なぜ衆院選の投票率は低かったのか?(入学予定者からの質問に答えて)

(本学部山中優教授より)

党名を 覚えるまえに 投票日

これは、今年のサラリーマン川柳にノミネートされた川柳の一つです。

(第一生命 第26回 私が選ぶサラ川ベスト10 投票サイトより)

http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/best100.html

昨年12月に行われた衆院選に臨む有権者の心境を、うまく表現したものだと思います。「あまりにも小党が乱立しているので、どこに投票したらよいか分からない」という心境です。

どうやら、これが先の衆院選の投票率と関係しているようなのです。

入学予定者を対象にして昨年12月16日に開催された入学準備プログラムで、若者の政治的無関心について質問を受けました。それに対して、「必ずしも無関心とは限らない。たとえば、今度の衆院選は非常に重要なものなので、投票率も上がるのではないか」とお答えしました。

ところが、ふたを開けてみると、実際の投票率は低いものでした。59.32%で戦後最低だったのです。いったい何故だったのでしょう?

この点についての識者の見解は、「どこに投票してよいか分からない」という有権者が多かったのではないか、というものです。つまり、重要な選挙だったので関心は高かったものの、あまりにも小党が乱立しすぎたので、投票しようにも、どこに投票したらよいか分からなかったため、結果的に投票率が下がった――ということです。

以下、昨年12月の第46回衆院総選挙結果につき、私の目についた識者の見解を三つ紹介します。一部を抜粋したものにすぎませんが、どうぞ参考にして下さい。

待鳥聡史 京大教授(政治学)
「自民党圧勝の最大の理由は政党の乱立で非自民の票が分散したことだ。比例代表は小選挙区ほどの大勝ではなく、有権者の過半数の支持を得たとは言い難い。投票率が低下したのも民主党にも自民党にも期待できないという民意の反映だろう」(日経新聞平成24年12月17日夕刊)

大嶽秀夫 同志社女子大学教授(政治学)
「組織としての自民党は他党よりもまだましと、有権者が消極的に選んだ結果にすぎない。日本維新の会は石原慎太郎氏と組んで清新さを失い、予想ほど票が伸びなかった。近年の国政選挙は党首の人柄で投票する「パーソナリティ型」の傾向が強いが、今回は政党同士の争いとなった。ただ、争点のはずの原発や消費税増税で論戦は低調だった」(日経新聞平成24年12月17日朝刊)

只野雅人 一橋大大学院教授(憲法)
「今回の結果から見えるのは、〔中略〕期待外れの政権党を「拒否」する姿勢だ。熟慮して選択するよりも拒否するのは容易で、たびたび政権交代したフランスでも同様の現象が指摘された。背景には判断材料の乏しさがある。今回、各党の公約は即席の印象が強く、来夏の参院選に向けて中身を詰めるべきだ。有権者も、政治を安定させるために、もっと長期的視野から政権や政党を評価するべきだ」(朝日新聞平成24年12月17日朝刊)