植芝守央(合気道道主)先生からのメッセージ

 世界に吹き荒れる不況と、新型インフルエンザの流行という経済、健康の両面にわたる嵐の中にあって、恙無く新年を迎えられましたことを心から幸せに感じております。 合気道は、開祖・植芝盛平(1883~1969)が幾多の武術修行と精神修養ののちに、「真の武道は徒に力に頼って他人と強弱を競うものではなく、自己の人格の完成を願っての求道である」と気づき、その体現を目指す道として創始したものです。開祖の意を汲んだ二代道主・植芝吉祥丸(1921~1999)は、国内外を問わぬ合気道普及の素地をつくりました。現在では私が道統を継承し、合気道のさらなる充実・発展に日々勤しんでおります。

ツ 合気道では和ということを大切にしています。これは心と身体の調和であり、人と人の和であり、自然との融和でもあります。相手と優劣を争うのではなく、相手と一体となり共に向上していこうとすることなのです。合気道を修業される方々には、目先のことに囚われず、日々の稽古と和合の精神を大切にされ、修業を通じて自分自身に強さと心のゆとりを備えて頂けたらと思います。

 ツ合気道は今では、日本国内はもとより海外にも幅広く普及しており、九十五か国以上の国々で老若男女を問わず多くの人々が稽古に励んでいます。知名度に関しては日本よりも欧米のほうが高いほどですが、どれだけ広く海外に普及し国際化が進んだとしても、合気道の本質はけっして変わることはありません。

 昨今、真の国際化が求められていますが、日本人自らが日本の伝統文化を理解、体得しなければ真の国際人は生まれてきません。教育現場でも日本の伝統を幅広く、正しく伝えることが必要不可欠であると思います。海外で多くの方々が、日本の伝統から育まれた合気道を高く評価し、日々稽古に励んでいますが、このことは日本と外国を繋ぐ重要な民間外交の役割も果たしているといえます。それをしっかりと認識し、日本で生まれた合気道を、誇りを持って正しく次代へ受け継いでいかなければならないと思います。

 さて、そうした意味におきましても、このたび皇學館大學で「日本を学び、日本の未来を築く」とのテーマのもとに「現代日本社会学部」が設置され、伝統文化の一環として合気道も取り入れられますことは、誠に喜ばしいことであると思います。 本年も開祖の唱えた合気道の精神を大切に、合気道の正しい発展のためになお一層精進して参りたいと思います。そして、皇學館大學の学生の皆様にお会いできるのを楽しみにしています。

合気道道主 植芝守央